「MARKUP」とメタ世界

 

メタ世界はひとびとの生きる時間のうち半分以上を消費します。そんな領域の数GBを使って「MARKUP」がつくられました。「見立て」の空間のなかで、ふわふわの「ことば」や、やわやわの「かたち」がどのように感じられるのか、そんな興味から生まれました。WEBの仮想空間で生成されることばや情報はさほど生きていません。生きているようにみえるだけなのかもしれません。あるいはヒトがヒトのために初めてつくったおもちゃのようにもみえ、代替可能で出たり入ったりできるたくさんある世界のひとつです。

そこは「ことば」の墓場のようです。

27th May 2018
18th January 2015

このサイト「MARKUP」には有益な情報も、重要なマーケティングリソースも、最新の情報戦略も、人を幸せにするようなコンテンツも残念ながら一切ありません。何かを評価することもないので情報価値もゼロという、「WEBサイトが有用なものでならねばならない」世界の常識からするとここはデスワールドです。そんなことですのでこのサイトが一体何をしようとしているのか、ここをたまたま訪ねてきた人々も、もちろんわたし自身にも皆目わかりません。

ケンブリッジ・アセンション教区墓地にあるウィトゲンシュタインの墓標に訪れた人々が小物を置いていくそうですが、なかでもミニチュアの「梯子」はなかなか気が利いています。これは、” He must so to speak throw away the ladder, after he has climbed up on it. “(論理哲学論考 命題6.54)「読者は謂わば梯子を登りきったあとでその梯子を取り払ってしまわなければならない」(意訳・ここに書かれているようなことを乗り越えてもらわなければならない)という記述にちなんでいると思われます。

「MARKUP」の語る「何も語りかけない(響かない)ことば」や乱雑にならべられた「もの」のうち、乗り越えるような価値のあるものがあるかどうかを血眼になって探すより、あなたと「ことば」のその間にある何かを感じて、徐に梯子を取り払っていただければそれでよいとおもいます。

error: Content is protected !!