不確定なXについての10の観測方法
現代アルファベットの24番目の文字と19番目の子音である『X』(UK /eks/ US /eks/)は、ギリシャ文字のKhi (Χ) の形から、Khristos Christの最初の文字を指す。
1 動かないX
全体として何の動きも変化もないようにみえるけれど、意外な箇所に変化があるようなもの。あるいは断続的に何度もみることで動いているように感じるようになる。しかし実際は変化しないような出来事。
2 XのなかのX
文字どおりの入れ子。Xの中に逆にめくられていくXがある状態。Xがめくらていくということは何かが進行することだと思うのだけれど、めくられていくと中のXは最初の段回に戻っていく。あるいは同じXをめくる状態が俯瞰的に描かれたものが無限入れ子になってるもの。
3 Xの素材や属性そのものにかかわる、もしくはそのもののX
表示されているというよりは面そのものに手が加えられているようなもの。あるいは表面がすなわち構造のようなもの。
4 窓の中の窓としてのX
窓枠のなかのイメージの外もしくは内にある括弧がけのX。
5 旅するX、Xによる旅
場所とか位置とか移動とかに関わること。
例えば最初の数ページをあなたが作成して残りの余白ページが100であるとした場合、100名のひとによって1ページづつ順番に書き加えられ最後にあなたにもどってくる。例えば、ある時間ある場所を描写した2冊の本(あなたバージョンとあなた以外のだれかバージョン)をつくる。あるいは空を動く雲。空に掲げてめくるイメージの見立て。日付と場所と時間が明記されるていること。
例えば観光、絵はがき。
例えば、あなた自身が体験したいつかの場所の話を、異なる時間にかなり離れた二カ所の同じような風景を背景に語ること。
例えば、あなた自身が体験したいつかの場所の話を、または同じ公園の反対側から対面で観察した風景を、リバーシブル(うらおもて)に観測してみる。それぞれの視点からの風景のなかのシーンには、視点主体のお互いの存在が確認できる。あるいはそれらは記録される。
6 視覚に関わるX
例えば鏡を想像する。鏡像のなかの自分の動きや背景を別のデバイスを使って映し出してみる。客観視する。例えばみてはいけないX。目を閉じてイメージの中だけでそのページをめくるように指示されたX。実はすべて黒い表面だけで構成されたもの。
7 動いているようにみえる、動かないX
『1』の逆。もしくは内部からは永遠に変化しないようにみえるけれど、外からの観測では持続的に変化しているようにみえる出来事。
8 自分が動いているように感じるX
小さな穴から川の流れを注視してみる。
9 ひとつのフレームのなかで複数のカットが同時進行ですすみ相互に微妙に関わっていくX
ひとつのXのなかで複数のシーケンスが進行する。それぞれのシーケンスのカット中で「すれ違い」や「関わり」が生じる。それらをデュアルに併置して同時に観察する。
10 単語の連鎖により物語を紡ぐX
文章構造を持たない単語をランダムにつなぎ、ナラティブイメージが形成されるか観測する。