ミラーワールドはデストピアかもしれない
2023年1月8日
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わたしの仕事場である” DOORKNOB.DESIGN”は2015年、物理的なオフィスを完全撤廃しました。現在100% リモートワークで運営され、ディレクションとマーネジメントを担う2名の共同代表をベースに、様々な場所に散らばる数名のスタッフによりプロジェクトごとにチームを都度編成する、完全分散型の組織により活動しています。今わたしたちの現場で、チームと呼んでいるものは従来の中央集権的な自立組織ではありません。わたしともうひとり共同代表の2名以外は全員別組織との掛け持ちであり、共同代表同士も「同じ組織」の一員という意識はありません。それぞれ個別のアクティビティがあり必要な時に必要な協働が行われます。事実マネタイズですらチームを組織するうえでの共有価値である必要すら無くなっています。
今後、協働のための大規模な「コラボレーションツール」が出現すれば、「その時々」に自由に組織される「その場」だけのプラットフォームでのみ進められる創発的な仕事の枠組みは、旧来の「カンパニー」ではなくこの先「コモンズ」がその受け皿になると思います。NDAなど業務機密の保全はブロックチェーンといった手段が考えら得ますが、効率的面・コスト面では現実的ではないでしょう。またいずれBCIを使って分散型AIとコネクトしチームで行うプロジェクトを、脳内メモを回すようになるのかもしれません。そうなると接続状態がデフォルトになりわれわれは外部デバイスに頼らない業務が実現するかもしれません。オフとは文字通り情報の遮断ということになりますね。
今、個人的に考えていることは、これまでのただのオープンソースコミュニティでもない、アイデアを創発し必要に応じて共有・公開できる「コモンズ」の形成です。現在、残念なことに物質化していない(製造されていない)アイデアは著作権がみとめらていないという事実があります。こうした問題はクリエィティビティもいずれAIに凌駕されるという全景に立てば、思考そのものの価値をみとめ保全することを必要とされる時代がいずれ来ることを予感させます。
ちなみに分散モデルが進むとオープンソースコミュニティからさらに進化し、さまざまなトークンエコノミーモデルによって自分の創作物をマネタイズするコミュニティまでいきつくようですが、個人的にはそもそもオープンソースは分散型所有を促進するという意味やメリットがいまひとつピンときておらず、なのでマネタイズモデルにもそもそも興味がないといったところです。ミラーワールドは現実と陸続きであることを前きしても、何か素敵ななにかをもたらしてくれるとは限らず、それこそそこの棲み心地は現実を生きることとさほど変わらず、期待はあれど今のところ期待以上のものはなさそうと考えるとは自然です。いや、むしろデストピアかもしれません。